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キャッチコピーの事例

STEP WGN(ステップ ワゴン)の6代目モデルのキャッチコピーを考察

キャッチコピーCase No.10 韻を踏む

キャッチコピーの事例を取り上げる第10回は、STEP WGN(ステップ ワゴン)の6代目モデルのキャッチコピーです。

よゆう じゆう for YOU

HONDAのミニバンとして人気の「STEP WGN(ステップ ワゴン)」。6代目モデル発売に関する「2022年05月26日ニュースリリース」には、「新型ステップ ワゴンが目指した3つの提供価値」が記載されています。そこには、『「安心」と「自由」を表現したスタイリング……』『くつろぎの室内空間……』『移動時の信頼性……』といった見出しとその説明があります。グランドコンセプトは、「#素敵な暮らし」です。

まず、キャッチコピーの二つ目のフレーズ「じゆう」。これは3つの提供価値にその言葉がありますので、「じゆう」が入るのはわかります。

つぎは、一つ目の「よゆう」ですが、これは「くつろぎの室内空間」を訴求する言葉ですね。ニュースリリースを読んでいくと、「ゆとりある車内空間」という言葉も出てきます。これも意味としては同じでしょう。しかしキャッチコピーには、「くつろぎ」や「ゆとり」などではなく、「よゆう」という表現が用いられています。これは、「よゆう」と「じゆう」は韻を踏んでおり、リズム感がでるからだと思います。

「よゆう じゆう」の順番については納得できます。ミニバンとしては、「よゆう」のある車内空間というのは一番の訴求ポイントです。

そして三つ目の「for YOU」は、「ゆう」という韻を踏むからこそ選ばれた言葉でしょう。これがあることでキャッチコピーとして成立するのだと思います。韻を踏みつつ、英字という変化があり、それによって訴求すべき「よゆう じゆう」が際立っています。

現在(2023年6月)、ブランドサイトには「Special」コンテンツがあって、その一つには『家族の よゆう じゆう な新常識』、もう一つには『家族が体感!よゆう じゆう STEP WGN』と大きく記載されています。この中の言葉を見ると、キャッチコピーの「よゆう じゆう」、それと「家族」が際立っています。STEP WGN(ステップ ワゴン)といえば、「家族」「こども」がキーワードですから目立つのは当然です。

しかし、キャッチコピーとしては、「よゆう じゆう for かぞく」「よゆう じゆう かぞく」などにはならないわけです。それはやっぱり、リズム感もなく、CMでも耳に残りにくいからだと思います。キャッチコピーの作り方として、何が大切にされているかがわかる一つの事例ではないでしょうか。

「韻を踏む」というのは、キャッチコピーの作り方の典型的なパターンの一つだと思います。今後も事例を集めていく予定です。なお、このキャッチコピーのコピーライターは、検索したけど見つけられませんでした。初代モデルのキャッチコピーやコピーライターについての記事はいくつかありましたが……。わかれば追記したいと思います。

初出:2023年06月16日