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キャッチコピーの事例

サントリー「マリンクラブ」(1983年頃)のキャッチコピーを考察

キャッチコピーCase No.12 ギャップを生かす

キャッチコピーの事例を取り上げる第12回は、サントリー「マリンクラブ」(1983年頃)のキャッチコピーです。

100円避暑地

コピーライターは眞木準さん。

商品を記憶していないのですが、ネットで調べてみたところ、1983年頃のサントリーの炭酸飲料で値段は100円だったようです。3種類(赤・青・緑)あって、混ぜると透明になったそうです。

前回「想像力と数百円」(1984年頃の「新潮文庫の100冊」/コピーライターは糸井重里さん)を取り上げましたが、そこで「想像力」と「数百円」のギャップが大きいからインパクトがあるのではないか、と書き、そのギャップについて考えてみました。

今回のキャッチコピーも同様のパターンではないでしょうか。「100円」と「避暑地」のギャップは大きいです。ふつう、「100円」と「避暑地」は同じ文脈で用いられないですよね。このようなギャップのある言葉を組み合わせることによって、インパクトのあるキャッチコピーが作れるのではないでしょうか。

もちろん、ギャップが大きいだけではキャッチコピーとして成立しないので、関連性が必要です。「100円のジュースを飲んで暑さをしのぐ」というその瞬間において、それは100円の「避暑地」と比喩的に言えなくもない。このような関連性がありつつ、言葉の組み合わせとしては大きなギャップがある。それがこのキャッチコピーの魅力だと思います。

前回と今回の事例から、金額などの数字を生かしつつギャップのある言葉を組みわせる、というキャッチコピーの作り方があると言えそうです。今後もこのようなキャッチコピーがあれば取り上げていきたいと思います。

初出:2023年06月29日