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キャッチコピーの事例

パーソル(PERSOL)グループのキャッチコピー(ブランドタグライン/グループビジョン)を考察

キャッチコピーCase No.23 理想を示す

キャッチコピーの事例を取り上げる第23回は、パーソル(PERSOL)グループのキャッチコピー(ブランドタグライン/グループビジョン)です。

はたらいて、笑おう。

コピーライターは、佐倉康彦さん。

『CyberAgent Way』(サイバーエージェント公式オウンドメディア)に掲載されている『広告コピーで世の中をスクラッチする|佐倉康彦』というインタビュー記事の中で、佐倉さんが「はたらいて、笑おう。」について語っています。

このキャッチコピーには、『「はたらいて笑えるわけねえじゃねえか」という意見もたくさん』あったそうですが、『何か小さいトゲが入って気になってしょうがない、というやり方を選んだ』と話しています。また、コピーは、『自分がふと感じた「はたらきながら、笑ってないな」という感覚から来たもの』だそうです。そして、コピーを見た人が怒ったとしても『それがスクラッチ』だと、『はたらいて笑えていない自分がいるから、「はたらいて、笑おう。」と言われて頭にきたと。そういう結果でも、いいんです。』と言っています。これは、「スクラッチする(引っ掻く)」ということの事例として挙げられています。

記事を読むと、『「はたらきながら、笑ってないな」という感覚』を明確に持っている人や、その感覚を潜在的にはもっているけれど普段意識していない人を主な対象としてメッセージを発信しているように思えます。

パーソル(PERSOL)グループは、総合人材サービスを展開していますから、訴求したい主なターゲットは求職者です。「はたらきながら、笑ってないな」という感覚を呼び覚ますことは、転職活動へと目を向けさせることにもつながっていきますので、事業を発展させるために効果的なキャッチコピーになっていると思います。一見すると、シンプルなキャッチコピーで、働いて笑顔でいられるという理想を描いたとも捉えられますが、記事を読むと、よく考えられていることがわかります。

「はたらいて、笑おう。」というのは理想ですが、実際のところ、そのような理想的な状態にないことのほうが多いのではないかと思います。だからこそ、理想を示すこのキャッチコピーは、『何か小さいトゲ』が入ること、「スクラッチする(引っ掻く)」ことになり、そこをねらったのでしょう。

求職者の中でも、これからはじめて就職する人には、シンプルな受け止め方、はたらいて毎日笑顔でいられるという理想として受け入れられれば、それはそれでポジティブな印象になるのかなとも思います。

さて、ここから、キャッチコピーの作り方のようなものを考えてみると、抽象的には、上述したような『世の中をスクラッチする』という作り方があると言えます。

当サイトの目的は、キャッチコピー作成の本質を探ることではなく、あくまで型(パターン)を探ることですので、その観点からもうすこし考えてみますと、「はたらいて」は展開する事業のキーワードで、「笑おう」は人にとっての理想ですので、「事業キーワード+理想を示す」という型のようなものが見出せるかもしれません。同様の事例があれば集めていきたいと思います。

初出:2023年12月21日