NECの販売促進キャンペーン(1991年頃)のキャッチコピーを考察
キャッチコピーの事例を取り上げる第28回は、NECの販売促進キャンペーン(1991年頃)のキャッチコピーです。
バザールでござーる
コピーライターは、佐藤雅彦さん。
前回に続き、「韻を踏む」キャッチコピーの事例です。「韻を踏む」事例を考えていたら、このキャッチコピーが浮かんできました。サルのキャラクターが登場するユニークなCMだったことを覚えています。
今検索してみたら、「バザールでござーる」の公式サイトがありました。終わっていなかったことにちょっと驚きましたが、終わってしまうほうがもったいないですね。公式サイトによると、「NEC冬の情報生活市(イチ)バザールでござーる」としてスタートしたとのことです。「バザールでござーる」はキャンペーンタイトルでもあったようです。また、これは店頭キャンペーンだったそうです。サルのキャラクターは「バザール・デ・ゴザール」という名前で、他にも、「〜〜〜・デ・ゴザール」という名前のファミリーがいて、そういう設定で展開されていたみたいです。30年以上前のことなので、このような詳細は覚えていませんでした。
あらためて「バザールでござーる」について考えてみると、「情報生活市」ですから、市場の意味をもつ「バザール」が用いられたのは納得です。「ござーる」は「ござる(御座る)」ですね。この口調が採用されたのは、「ござーる」と伸ばすことによって、韻を踏んでリズミカルになるからだと思います。
もともと、「ござる(御座る)」という言葉はサルとは関係ないわけですが、サルのキャラクターと合わせられると、なんとなくサルの言い回しにぴったりだと思えてきます。これも、「(ご)ざる」「さる」という言葉の類似による効果でしょう。
「バザールでござーる」は、意味として心になにかを訴えかけてくるわけではありません。意味として迫ってこないのに、長年にわたり記憶に残っている。そのことを考えても、韻を踏むリズミカルなキャッチコピーがいかに印象に残りやすいかがわかります。今回の事例も「韻を踏む」キャッチコピー人気をつくり上げてきた名作コピーの一つだろうと、そんなことも思いました。
当コンテンツの目的はキャッチコピーの事例を集めて、キャッチコピーの型や作り方を自分なりに考えることですが、今回のまとめは、口調をうまく活用して「韻を踏む」という作り方もあるのではないか、です。