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キャッチコピーの事例

日本航空(JAL)のキャッチコピー(スローガン)を考察

キャッチコピーCase No.29 事業の象徴的ワード

キャッチコピーの事例を取り上げる第29回は、日本航空(JAL)のキャッチコピー(スローガン)です。

明日の空へ、日本の翼

離陸していく航空機が目に浮かぶようなスローガンです。多くの人の明日を乗せて飛び立っていくポジティブな印象を受けました。

「日本の翼」という表現が似合う企業は、日本航空の他にはほとんどないだろうと思います。たとえば、日本を飛躍させる原動力という意味で「日本の翼」と比喩的に言うことはできますが、国の代表的な意味となる「日本の」を使い、「翼」というイメージの良いワードと組み合わせると、ほとんどの企業にとってはちょっと言い過ぎな感じになってしまいそうです。

しかし、日本の戦後初の民間航空会社であり、社名にも「日本」を冠し、「翼」が事業を象徴するワードである日本航空ならば、「日本の翼」と言ってもそれは事実であり、言い過ぎには聞こえません。そして、このフレーズと、前にある「明日の空へ」によって、日本の明日を牽引する原動力であるかのような良いイメージが自然に訴求されます。これは日本航空ならではのフレーズと言えるのではないでしょうか。コピーライターの方や日本航空の方の意図はわかりませんが、そんなことを思いました。

当コンテンツの目的はキャッチコピーの事例を集めて、キャッチコピーの型や作り方を自分なりに考えることですが、このスローガンをもとにキャッチコピーの型を探ってみたいと思います。

前後のフレーズに、「空」「翼」という航空会社の事業を象徴するワードが入っています。二つのフレーズからなるキャッチコピーの場合は両方に事業の象徴的ワードを入れてみる、という作り方がありそうです。

「明日の空へ」というフレーズは、未来に目を向けています。ここから、〝事業を象徴するワードを交えて未来を描く〟という作り方が考えられそうです。〝未来に目を向ける・未来を描く〟タイプのキャッチコピーは人気のようでよく見かけます。とりあえず、このタイプを〝未来型〟キャッチコピーと呼ぶことにします。

「日本の翼」というフレーズからは、〝事業を象徴するワードと組み合わせて国の代表を名乗る〟という型が見出せそうです。「日本の〜」を使うキャッチコピーは他にもあります。国の代表を名乗るのは似合わない場合が多いかもしれませんが、商品に自信があるのなら、そう言い切ってしまう手もあるかもしれません。また、「日本」を「地域名」とすれば、「(地域名)の〜」として地域代表を名乗ることもできます。地域密着型の有力企業のキャッチコピーなどに使えそうです。今後、このタイプの事例は、〝日本(地域)代表型〟キャッチコピーと呼ぶことにします。

今回のまとめは、前後のフレーズに事業の象徴的ワードを入れる作り方、〝未来型〟キャッチコピー、〝日本(地域)代表型〟キャッチコピーという作り方があるのではないか、です。絵が浮かぶか、そんなことを考えてキャッチコピーを作ってみるのも良さそうです。

なお、検索しましたが、コピーライターはどなたかわかりませんでした。わかれば追記します。

初出:2024年05月07日