東京海上日動火災保険のキャッチコピー(2015・2019年広告)を考察
キャッチコピーの事例を取り上げる第33回は、東京海上日動火災保険のキャッチコピー(2015・2019年広告)です。
保険は冒険から生まれた。
コピーライターは、磯島拓矢さん、小山佳奈さん、岩田泰河さん。
2015年に展開された広告シリーズで使われたキャッチコピーの一つです。「挑戦を支える」ことを打ち出しており、このコピーは2019年の創業140周年の際にも使用されています。
保険というと一般的にはどのようなイメージでしょうか? 「攻・守」で考えると、保険は人生における「守」というのが私の持っているイメージでした。しかし、このキャッチコピーを見たとき、「攻」にひっくり返されてしまいました。
2015年の広告シリーズの中には、「挑戦の数だけ、保険がある。」というキャッチコピーもあり、そのビジュアルは海を渡る帆船です。この大航海時代のイラストは、まさに挑戦を象徴しています。
2019年の創業140周年の新聞広告にも、海を渡る帆船のイラストが用いられています。そして、「保険は冒険から生まれた。」のキャッチコピーです。ボディコピーは、つぎのように始まります。
大航海時代、その挑戦に勇気を与えるために、保険は生まれました。
保険の歴史は、挑戦の歴史です。
(以下、略)
ビジュアル、キャッチコピー、ボディコピーが完璧にマッチしており、とてもインパクトのある広告だと思います。保険は挑戦を支えている、というメッセージが明確に伝わってきます。
この広告は、私の保険のイメージを覆しました。このように既存のイメージを覆すことができるか、新しい気づきをもたらすことができるか、といった視点でキャッチコピーを考えると良いアイデアが浮かぶかもしれません。
また、「保険」「冒険」と、韻を踏んでいてどちらも二文字なのでリズミカルです。それも、このキャッチコピーの良さだと思います。これまでにも「韻を踏む」キャッチコピーの事例を取り上げていますが、やはり「韻を踏む」というのは、キャッチコピー作成において最も使えるテクニックの一つだと思います。