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キャッチコピーの事例

豊島園(1986年)のキャッチコピーを考察

キャッチコピーCase No.34 意外性

キャッチコピーの事例を取り上げる第34回は、豊島園(1986年)のキャッチコピーです。(「としまえん」は2020年8月31日閉園)

プール 冷えてます

コピーライターは、岡田直也さん。

今回は、猛暑の中、ふと思い出した名作コピーです。夏にプールに入ることの気持ちよさが、シンプルかつ強烈に表現されていますね。

やはり、名作コピーには、言葉の組み合わせに意外性が感じられるものが多いと思います。意外性があるけれど、ちゃんと関連性もある。そしてシンプル。名作にはそんな印象があります。

本来、プールは冷やされるものではないので、「プールが冷えている」という発想はほぼすべての人が持っていなかったと思います。冷えているといえば、たいてい飲み物を思い浮かべます。あとはスイカとか。冷やされているものは飲み物や食べ物であって、プールはけして冷やされることはありません。その意外性がインパクトをもたらすのではないでしょうか。

実際にプールを飲み物のように冷やしたら、冷たすぎて入れませんね。「プール」と「冷えている」という言葉は本来マッチしないにもかかわらず、受け手に違和感は生じません。それは、「プールで体を冷やす」など、文章において同時に使われる言葉なので、関連ワードとして脳内にインプットされているからだと思います。このような、「意外性があるけれど、関連性も保っていて違和感にはならない言葉の組み合わせ」を見つけると、インパクトのあるキャッチコピーになるのではないでしょうか。

初出:2024年08月01日