文章の読み書き能力を鍛える方法【各節の要点をとる】
前回(新聞社説の縮約・要約)に続いて、『日本語練習帳』(著者:大野晋/岩波書店)に書かれている、文章の読み書き能力を鍛える練習をご紹介したいと思います。それが、記事タイトルの【各節の要点をとる】です。
これは、「文章の初歩を練習する人のためのもの」、「長い作品あるいは論文にとりついていく初歩的な練習」(同書)だそうです。
同書では、夏目漱石の『こころ』(「上 先生と私」の前半、15節まで)を用いて、以下の3つの練習を行います。
まず、15節までの要点を節ごとに30字以内で書きます。つぎに、この15項目を内容によって7項目にまとめ、要点をそれぞれ20字以内で書きます。最後に、7項目を手短かに4項目にまとめます。
この作業を実践してみようと思った方は、『日本語練習帳』を一読して、やり方を確認してみるとよいでしょう。上述の3つの練習の答えが記されています。
同書では小説を用いて練習していますが、本当は専門的な論文や哲学書のような、むずかしい文章がいいそうです。つぎのように述べられています。
内容のむずかしい作品を区切り、その段落ごとの要旨をとり、それをつないでいくことによって初めて全体の論旨をつかみ、ほぼ全体像が描けるようになっていく。その作業をした後であらためて細部を読む。そして、もう一度初めから読む。そういうむずかしい文章がいいのです。……
『日本語練習帳』(大野晋/岩波書店/1999年1月)
前回の【新聞社説の縮約・要約】と今回の【各節の要点をとる】は、「文章の骨格」をつかむ練習です。このような作業を行うことは、文章を読む力を鍛えるだけでなく、書く力の向上にもつながります。同書にはそのことも記されています。
初出:2024年12月15日