【本の紹介・書評】『スタンフォード式最高の睡眠』(西野精治・著)
著者の西野精治氏は、「スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所(SCNラボ)所長」(本書著者紹介より)。プロローグによると、「1987年に渡米し、スタンフォード睡眠研究所に所属」、「そして2005年にその主たる基礎研究機関であるSCNラボの所長に就任」したとのこと。
スタンフォード睡眠研究所は1963年に設立。これは「世界初の本格的な睡眠研究機関」で、「クリニックも併設された画期的なものだった」そうです。また、「1989年、初めて睡眠医学の教科書を作ったのもスタンフォード」で、著者も執筆に携わっています。
現在の他大学のすばらしさにも触れたうえで、「だが、身びいきを差し引いて、いまだに睡眠研究の総本山がスタンフォードというのは事実だ」といいます。
書名の「スタンフォード式」には、このような自負が込められているのでしょう。本書では、スタンフォードで長年にわたり睡眠研究に従事してきた著者が、その研究過程で蓄積してきた知見をもとに、「最高の睡眠」を得るためのメソッドを伝えています。
では、「最高の睡眠」とは、いったいどのようなものでしょうか。
「答えは、「脳・体・精神」を最高のコンディションに整える、「究極的に質が高まった睡眠」となる」と述べています。
そして睡眠の質を高めるために重要なのが「眠り始めの90分」で、これを「黄金の90分」と表現しています。
睡眠には「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」があり、この二つを繰り返しながら眠っていることや、眠るとすぐに訪れるのがノンレム睡眠であること、ノンレム睡眠の深さにはレベルがあることなどを簡単に説明して、1日の睡眠パターンを示し、「最初のもっとも深いノンレム睡眠」の重要性を強調します。
この「黄金の90分」を確保するための「2つのスイッチ」が「体温」と「脳」だといいます。それぞれの観点から睡眠メソッドを紹介しています。
また、「睡眠と覚醒は表裏一体である」ことを述べて、「覚醒戦略」という見出しを11個掲げて、アドバイスしています。