朝型と夜型。その鍵を握るのは体内時計
朝から仕事が捗る人もいれば、昼近くになってようやくエンジンがかかる人もいます。夜になると眠くていつの間にか眠ってしまう人もいれば、夜遅くまで起きて好きな作業に没頭する人もいます。
このような「朝型」か「夜型」かというのは、「体内時計」の仕組みが関係しているそうです。体内時計は、睡眠・覚醒、ホルモン分泌、血圧・体温調節などに影響を及ぼしているといいます。
体内時計――その名のとおり私たちの体内には、ほぼ24時間の生体リズムを刻む「時計」があるそうです。私たちの生殖細胞をのぞく全身の細胞が「時計」を持っていると考えられており、これらの「時計」を統括する、いわば「親時計」が、脳の「視交叉上核」というところにあるといいます。一つ一つの細胞が「体内時計」を持っているわけですが、この親時計である「視交叉上核」を体内時計と呼ぶことが多いようです。
「時計」の機能を担うタンパク質は、「時計遺伝子」に基づいてつくられます。いくつかの時計遺伝子の共同作業によって、このタンパク質が増えたり減ったりを繰り返しており、このサイクルが約24時間。つまり、タンパク質の製造量が、「時計の分針」の役割を果たしています。
この時計遺伝子の塩基配列は個体によって微妙な違いがあり、この違いのため、体内時計の周期には個人差が生じるそうです。
体内時計の周期を測る方法にはいくつかあるが、ホルモンや深部体温の一日の変動を基に測ると、健康人でも約一時間程度の幅があることがわかっている。体内時計の周期が二四時間より長めだと夜型になりやすく、この周期が二四時間より短い、ないし二四時間に近い場合には朝型になると考えられている。
自分の体内時計の周期が正確にわかると、自分が朝型か夜型かがわかるということになります。2013年には、皮膚細胞を用いて体内時計の周期を測定する方法が開発されたそうです(国立精神・神経医療研究センターの三島和夫氏らの研究チームによるもの)。そのうち、多くの人が朝型か夜型かを検査するような日が来るのかもしれません。
参考文献
『睡眠のはなし』/内山真/中央公論新社/2014年
『睡眠の科学・改訂新版』/櫻井武/講談社/2017年