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キャッチコピーの事例

カルピスのキャッチコピーを考察

キャッチコピーCase No.35 最適な一語

キャッチコピーの事例を取り上げる第35回は、2007年にカルピスが策定した企業スローガンです。2024年8月現在、カルピス(株)はアサヒ飲料(株)のグループ企業で、「カルピス」「CALPIS」はアサヒ飲料の登録商標です。

カラダにピース CALPIS

コピーライターは、坂本和加さん。

このキャッチコピーは「韻を踏む」タイプに分類できると思います。始まりと終わりの「カラ」「ピース」で「カラピス」、語感的には「カルピス」とかなり似た感じです。そのためか、カルピスらしい、カルピスならではのキャッチコピーという印象を受けます。(企業やコピーライターの方が意図しているかどうかはわかりません。)

そして、「カラダにピース」は意味としてもカルピスという商品の良さを的確に表現しています。

「ピース」に込められた想いについては、つぎのように記されています。

『……“カラダ”の健康に機能しつつ、穏やかに心安らぐ情緒的健康にも機能することを“ピース”という単語で表し、人びとの健康に役立ち、社会に貢献する企業でありたいという願いを込めた。……』(2024年8月現在、アサヒ飲料ホームページの「カルピス®ブランド史」というページにある、『9.「カルピス®」価値向上プロジェクト』という項目のPDFより)

この「ピース」という言葉を採用したのが秀逸だと感じました。「カラダにピース」と「カラダ」にフォーカスしているにもかかわらず、心が満たされている感じがよく表されています。「こころ」と言わなくても、それが暗に示されているのは「ピース(peace/平和)」という言葉ならではでしょう。しかも、上述したように「ピース」は「カルピス」と(部分的に)韻を踏んでいます。このような最適な一語を選び出したところが、このキャッチコピーの良さだと思います。

当コンテンツの目的はキャッチコピーの事例を集めて、キャッチコピーの型や作り方を自分なりに考えることですが、今回は適切な一語を選び出すことの重要性を改めて認識させられる事例です。また、「韻を踏む」キャッチコピーの事例でもあり、作成の際に部分的にでも韻を踏むことができるかどうかを考えてみるのも良さそうです。

初出:2024年09月02日