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語彙を増やす方法【辞書を読む】

「語彙を増やす方法【辞書を読む】」のイメージ画像

前回前々回に続いて、出版当時ベストセラーとなった『日本語練習帳』(著者:大野晋/岩波書店)に書かれていた話題をご紹介します。

同書には、〝作家たちが語彙を増やすために辞書を読んだ〟という話がでてきます。つぎのように記されています。

自分の語彙を増やすことに関しては、小説家とか歌詠みたちなどは、みんな非常な苦心をしています。例えば、与謝野晶子とか斎藤茂吉などの歌人は、辞書を読んでいって単語を拾ったようです。井上ひさしさんは、辞書をたくさん買って頭からそれを読むようですし、大江健三郎さんは、あの堅牢な製本の『広辞苑』を三冊取り替えたという噂です。『広辞苑』はそう簡単にはこわれない。だから、大江さんがいかに辞典を引いたか分かります。……

『日本語練習帳』(大野晋/岩波書店/1999年1月)

著者の大野晋氏は、「…ようです」「…という噂です」と書いており、事実と断定はしていませんが、おそらく本当のことだろうと感じました。

辞書を読むことは、短期間で語彙を増やす最も効率的な方法という気がします。語彙が豊富かどうかは見聞きしたものの質と量によりますので、辞書を通読すれば語彙が増えるのは間違いなさそうです。

とはいっても、これはなかなか大変な作業ですね。辞書を読むのがおもしろいと感じる方もいると思いますが、それはごく少数の方ではないでしょうか。ストーリーもない、特別なテーマもない辞書を頭から読んでいって読了するには、高いモチベーションや根気が必要になると思います。

引用箇所には、「辞書を読んでいって単語を拾う」という話もあります。どのように読み、どのように拾ったのか、その詳細は書かれていないのでわかりませんが、頭から読んでいったのなら、同じように大変な作業です。おそらく、そうしたのだろうと想像します。

でも、適当にパラパラめくって琴線に触れた単語だけを拾い読みすることもできますね。このやり方なら、気楽に長く続けられそうです。拾った単語に印をつけておけば二重に拾い読みすることもありません。繰り返せば、いつかはすべての単語に印がつき、辞書を通読したことになります。

『日本語練習帳』を読み終えてから、上述したようなことを考えています。しかし、まだ実践すると決めてはいません。読書習慣はありますので、〝本を読んだ際に気になる単語をメモするだけでもいいかな〟と思っている自分もいます。

語彙を増やす方法については今後も考えてみたいと思います。

初出:2025年01月05日